「IT導入補助金」はECサイトの構築などにかかった費用の一部、最大最大450万円が補助されます。最長2年分のクラウドシステムの月額利用料が補助対象になるため、ECサイトやネットショップの立ち上げやリニューアルに活用できます。
本記事ではIT導入補助金2023でECサイトを立ち上げる方法や注意点などについて解説します。
IT導入補助金2023とは?
IT導入補助金2023は、生産性向上などに取り組む中小企業や小規模事業者を対象に、ITツールの導入経費の一部を国が補助する制度です。補助金の対象はソフトウェアの購入費だけでなく、クラウドサービスの利用料、ハードウェア(PC・タブレット・など)の費用、ツール導入時のコンサルティング費用も含まれます。
ASP利用のECサイト立ち上げにIT導入補助金を活用
IT導入補助金は、ASPを利用するECサイトの立ち上げに活用できます。
ただしASPを利用したECサイトの制作を、IT導入支援事業者として登録されている事業者へ依頼することが前提です。
ECサイトを制作する技術があるからといってIT導入支援事業者以外に依頼することはできません。
IT補助金の活用に適しているECサイトのASP
ASPとはアプリケーション・サービス・プロバイダの略で、ECサイ商品登録機能やカートシステムなど、ASPにはECサイトに必要な機能があらかじめ揃っているサービスです。
開発コストをカットでき、安価にECサイトを立ち上げられます。
- Shopify
- BASE
- カラーミーショップ
- MakeShop
- EC-CUBE
ASPを利用したECサイト立ち上げのメリット
ASPのメリットは、上記したように初期費用を抑えられるということです。
オープンソースやECパッケージを利用したECサイトも既存システムを利用するという点では同じですが、最低でも数百万円ほどかかります。一からすべてを構築するフルスクラッチの場合は数千万円以上かかることもあります。
ASPの場合の初期費用は数千円~10万円程度。無料でスタートできるサービスもあります。
クラウド上ですでに構築されているシステムを利用するので、サーバー開設やソフトウェアのインストールなど、利用する側が準備することはありません。
そのため導入までの期間が短く、早ければ1日でECサイトを立ち上げられるでしょう。
サーバーを用意する必要がなく、管理の心配も要りません。システムの運用保守や機能追加などもサービス管理者にお任せできるので、専門的な知識は不要です。
ASPを利用したECサイト立ち上げの注意点
ASPの注意点(デメリット)は、カスタマイズ性が低いことです。
デザインなども、決められたテンプレートの中から選ぶだけで、自由自在には設定できません。サービスによってはテンプレートが豊富なので、よほどうるさいことを言わなければ満足できる範囲内だと思います。追加料金で選べるテンプレートを増やせるサービスもあります。
機能面も同様で、使える機能が決まっているので、自社のユーザーニーズに合わせて機能を追加したりすることは難しいです。
たとえば、ECサイトの顧客を分析し、それにあわせてマーケティング施策を実施するために、外部システムやデータベースとの連携をしようと思っても、対応していないものがほとんどです。ECサイトの規模がある程度大きくきたら、ASPから乗り換えたほうがいいかもしれません。
ECサイト立ち上げに活用できるIT補助金は「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)」
上記のように、IT導入補助金には「通常枠(A・B類型)」「セキュリティ対策推進枠」「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)」という3つの「枠」がありますが、ECサイト立ち上げにおいては、「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)」を選択しましょう。
「通常枠」ではホームページ制作費が補助対象外となり、「デジタル化基盤導入枠」は、インボイス制度への対応を見据えて導入するECサイトの新規制作事業が補助対象になっているためです。
ECサイト立ち上げの補助額
IT導入補助金のデジタル化基盤導入枠で採択された場合の補助金について説明します。
上記のASPカートを利用したECサイト立ち上げの場合は初期費用と利用料がかかります。
IT導入補助金のデジタル化基盤導入枠において補助対象経費となるのは、
- ソフトウェア購入費
- クラウド利用料(最大2年分)
- 導入関連費(導入コンサルティングなどの役務も含む)
- ハードウェア購入費
です。
補助対象経費: 240万円+36万円=276万円
補助額: 補助対象経費67万円×補助率3/4=50万円
補助対象経費209万円(上記を超える金額)×補助率2/3=約140万円
合計約190万円
実質負担額: 約86万円
このように、事業者の実質負担額を3割程度まで抑えることができます。
ECサイト立ち上げにIT導入補助金を活用する際の注意
IT導入補助金をECサイト立ち上げで申請する際の注意点を解説します。
スクラッチ開発はIT補助金の対象外
IT導入補助金は、所定の「ITツール」を導入する場合を対象とするため、ゼロから独自のプログラムを組む「スクラッチ開発」によってECサイト立ち上げにかかる費用は対象になません。
IT導入支援事業者からしか申請できない
IT導入補助金を活用するには、事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組んで申請しなければなりません。支援事業者は、「IT導入支援事業者・ITツール検索」で検索できます。
採択されたら、年度内に効果報告が必要
補助金の交付を受けた場合、そのITツールを継続的に活用しつづけ、効果を報告することが義務付けられています。デジタル化基盤導入枠の場合、交付後1年度目に1度の報告が必要です。2023年度IT導入補助金の場合、効果報告の期限は2024年4月です。
IT導入補助金は後払い受け取り
IT導入補助金は、事業完了後、実際に支払った経費を補完するものです。
つまり、事業者はECサイト立ち上げにかかる経費をまずは自分で支払わねばなりません。
補助金の申請が通っても、費用を支払えないと事業を実施できず、補助金も出ません。
ECサイト立ち上げに使える他の補助金
ECサイトの立ち上げやリニューアルに活用できる補助金は、IT導入補助金も含めて次のようなものがあります。
- IT導入補助金
- 事業再構築補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 各自治体によるIT補助金
- 各補助金の対象となる制作物や金額です。
このうち、特にIT 導入補助金と小規模事業者持続化補助金は、制度の目的が「生産性向上に取り組む」「販路開拓」であることから、EC サイト立ち上げの申請が採択されやすい傾向にあります。
とりわけIT 導入補助金は次のような理由でおすすめです。
- ECサイト立ち上げで採択された実績が豊富
- 補助額が最大350万円と大きい
- 補助金そのものの平均採択率が他より高い傾向(2022年度の実績は66.4%)
小規模事業者持続化補助金はWebサイト制作に割り当てられる申請額が小さいため、望み通りのECサイトを立ち上げるのは難しいでしょう。
IT導入補助金の場合は、2023年度からECサイトのリニューアル費用も対象になっています。
一方、事業再構築補助金は補助金支給額が最も大きいのですが、中小企業や中堅企業を対象に、新規事業への参入や業態転換などにかかる費用の一部を補助する制度なので、採択の敷居は高いです。しかし、実店舗で商売している小売店がECサイトを立ち上げるといった場合にECサイトの構築費用などを申請することができます。
ものづくり補助金もECサイトの立ち上げは申請できますが、「設備やシステムを導入して革新的サービスを創出する」という制度のため、以下のような条件が付いてしまいます。
- ECサイトを立ち上げる目的が海外市場開拓であること
- ECサイトの導入が革新的なサービスの提供となっていること
。
たとえば「越境EC」のように海外市場開拓が目的なら、広告宣伝・販売促進費としてECサイトの立ち上げ費用を申請できますが、完全に国内顧客向けのECサイトでは採択される可能性は低いです。
上記のさまざまな補助金を比較してみました。
| 事業再構築補助金 | IT導入補助金 | 小規模事業者持続化補助金 | 各自治体の補助金 | |
|---|---|---|---|---|
| ECサイト立ち上げ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| ECサイトリニューアル | × | 〇 | 〇 | 〇 |
| ECモール出店 | × | 〇 | 〇 | 自治体による |
| 補助金額 | 100万円 ~1億円 | 5~350万円 | 50~200万円 | 5~100万円 ※自治体による |
| 採択率 ※2021年実績 |
約40% | 約50~60% | 約60% | 自治体による |
